2004年12月1日水曜日

【第4回】-コンストラクショニズム③-


-コンストラクショニズム③-

「学校は間違いは悪いものだと教える。(中略)デバグの哲学は、これと正反対の態度をとるようにと勧める。間違えは、何が起こったのか調べ、何が間違ったのかを理解し、理解することによって修正するように我々を導いてくれるから、有益なものである。」(パパート著『マインドストーム』未来社)

パパートの提唱する「デバグの効用」を「×(バツ)から始まる学び」と言い換えてもよいでしょう。共通の学習テーマは与えられていても、子供達がイメージしている目標やアプローチの仕方は千差万別です。各自が自分だけの目標を追求している時、必ず思った通りにいかないことがあります。これが×(バツ)です。ここでは、教師が強制的に課した課題ではなく、目標達成の過程で自らが課した課題となります。そのため、自発的に自分の頭で考えようとします。「なぜうまくいかないのか?」「どうすればうまくいくのか?」

そして、「こうしたらどうなるかな?」(推論)→「やってみよう!」(実験)→「うまくいった!」「だめだった」「どうして?」(検証)という正しい学びのサイクルが生まれます。この学びのサイクルを何度も何度も繰り返すことによって論理的な思考力や洞察力、粘り強く物事に取り組み考える習慣が育つのです。たとえ始めはうまくいかずに投げ出したり、先生やお友達に頼ろうとしたりても、目標達成という成功体験を積み重ねることによって、徐々にデバグの効用や正しい学びのサイクルの良さを信頼し、根気よく取り組むようになっていきます。また、その過程で子供達は自ら多くの知識を「発見」するのです。


最近では実業の世界でも、よく「PDCAサイクル」といった言葉をよく耳にします。Plan(計画)→Do(実行)→Check(点検)→Action(改善)の略です。研究・開発の世界では当たり前のことですが、大人になって社会に出ても必要な学習方法であり学習姿勢なのです。当然、当アカデミーもこの手法で授業の質の向上を常に行い、レッスンプランの改良を重ねています。
しかし、学習の場においてこの学びのサイクルを実現するには、前回お話した学びの環境における「教材」の力が大きいのです。次回は、教材についてお話いたします。


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2004年11月1日月曜日

【第3回】-コンストラクショニズム②-

-コンストラクショニズム②-

前回は、コンストラクショニズムの基本的な考え方を紹介し、「子供たちは、だれに教えられることなく実体験の中から何かを『発見』し、自ら判断して知識を獲得していく」とお話しましたが、自由放任して子供たちを放ったらかしにしておけばいいのか?教育の役割とは何なのか?ということが問題になります。
レゴエデュケーションの父・MIT教授シーモア・パパートは「学びの環境」の大切さを訴えています。ここでいう「環境」とは、①教材②カリキュラム③教師の役割を意味します。まず、教師は子供の学びをデザインし、そのデザインに基づいて、上記三者が一体となって、最高の学びを実現することができると考えます。

学びのデザインでは、教師が目標設定し目標を達成するために何を仕掛けたら最も効果的か、を立案します。従来型の知識を一方的に教え込む指導法)ではないので、子供自らの発見を無理なく自然に誘発する仕掛けを考えなくてはなりません。
当アカデミーでは、「レゴダクタコース」では、MITが開発したカリキュラムをベースにして、開講以来4年間カリキュラムマネージャー(ダクタキッズ以下とジュニアロボ以上のこの教育に精通した2人の講師が担当)を中心にコツコツと作り続け、アーリーダクタからジュニアロボティクスまでに必要な400近くの独自のレッスンプランを作成し、完成までもう一息という段階に至りました。


また、「ロボットサイエンスコース」も順次作成を進めており、「ハンズオン算数くらぶ」も小1~3が既に完成、来年度に向けて年長、小4のレッスンプランを完成する予定でおります。
いずれも、コンストラクショニズムの学びを実現するために何が必要かを最重要課題として取り組んだ、教育一筋に10数年邁進してきたトゥルースの成果であり、他のレゴ教室とは一線を画した
「子供たちの学び」をデザインしています。


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2004年10月1日金曜日

【第2回】-コンストラクショニズム①-

-コンストラクショニズム①-

当アカデミーの教育のコンセプトは、次の3つのキーワードが大きな柱となっています。
(1)コンストラクショニズム
(2)ハンズオンラーニング
(3)オープンエンドアプローチ

まず、コンストラクショニズムについて、 その概略をご紹介いたします。

コンストラクショニズムは次の2つの言葉に象徴されます。

子供は生れながらの「知識の積極的な建設者」である。
                      (発達心理学者ジャン・ピアジェ)

・子供たちが没頭して何か意義のあるものを作っている時、
真の学びが生まれるのだ。 
     (MIT教授シーモア・パパート)

「授業=業を授ける」という従来型の教育方法では、知識の占有者としての教師が一方的に知識を子供たちに与えるという構図(インストラクショニズム)となります。そこでは、子供たちは正しいか間違っているか、良いか悪いかの判断をすることもなく、権威ある大人からの知識を鵜呑みにし、それを理解し、覚え、できるだけ素早く正確に大人の要求する、いわゆる「正しい」答えを出さなければなりません。果たしてこれで、自分の頭で考え判断できる人間になれるでしょうか?

コンストラクショニズム(constructionism)の教育理論は、この対極にある考え方なのです。端的に言えば、「子供たちが知的好奇心と探究心を持って、創造的な活動(=ものをconstructする)に没頭している過程で、自ら知識を発見し、知識相互の関連付けをしながら体系を作り上げて行く(=知識体系をcunstructする)」というものです。子供たちは、だれに教えられることなく実体験の中から何かを「発見」し、自分の頭で判断して知識を獲得していくのです。発見したことは覚えることを強制されなくても自然に覚えているものです。また、発見には「感動」が付き物です。子供たちは、発見したときの感動を再び味わいたいがために、次の課題に自ら積極的に向かうようになります。このように、コンストラクショニズムとは、実に強力な「学び」の理論なのです。
次回は、コンストラクショニズムの学びにおける教育の役割についてお話しするつもりです。


精神とは満たされるべき器ではない。

それはともされるべき炎なのだ。

― ギリシャ時代の歴史学者プルタコス ―


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2004年8月31日火曜日

【第1回】トゥルースの視線

当アカデミーは、1988年に板橋の地で「トゥルース進学アカデミー」という名称で、進学塾としてスタートしました。1995年、「有限会社トゥルース・アカデミー」に法人化。中学受験・高校受験を中心とし、地理的な位置から、開成、城北、独協、日大豊山、都立小石川など東京北西部の学校への進学が中心した地元密着型の学習塾です。

子供たちには、高い目標を掲げ、自己の可能性が無限であることを認識し、その目標に向かって自らが責任を持ち誠実な努力を行うことを体得してもらいたい、という思いで指導に当たっており、初期の生徒募集には「高き目標を掲げよ! 学習とは自らとの闘いであり、学力とは自らが生きてきた軌跡である」などという、かなり過激な言葉を載せておりました。

10年ほど前でしょうか、学生時代から家庭教師や学習塾で教え始めてから20年経ち、私の心の中に、何か別のものが芽生え始めたのです。時には厳しく時には優しく励まし、「受験」という目標に向かって子供たちを駆り立てていく教育だけでいいのか?生きることに対して真剣に取り組むことはもちろん必要だが、人が成長するためにはもっと違った視点も必要であり、別のアプローチもあるのではないか?
そして、社会は不況となり、これまで日本では当たり前となっていた終身雇用制や年功序列の崩壊、大企業や政治家の不正、エリートの犯罪、凶悪犯罪や少年犯罪の増加と低年齢化。そして教育現場では、不登校やイジメ、校内暴力の増加。
これまでの教育は良かったのか?今の教育のままでいいのか?子供たちは本当に幸せなのだろうか?明るい未来を創るために将来を担う子供たちに、十分な教育は提供されているのだろうか?
そんな疑問の中で世界で行われている、いろいろな教育を調べ、その過程で出会ったのが「レゴダクタ(レゴエデュケーション」だったのです。
今回から数回、「トゥルースの視線」というタイトルで、当アカデミーの教育コンセプトのいくつかをご紹介できればと存じます。よろしくお願いいたします。

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2004年1月1日木曜日

●2004年 新年のごあいさつ


 こどもたちが没頭して何か意義のあるものを作っている時、学びが起こるのだ
MITシーモア・パパート教授 (レゴエデュケーションの父)

新年明けましておめでとうございます。
旧年中はご父母様のご理解、ご協力に支えられ、150名の子供達が当アカデミーで学ぶまでに至りました。また、暮れのクリスマスパーティーは大変盛況とな り、一度にたくさんの笑顔を見ることができました。ありがとうございました。私共にとっても初めての大きなパーティーでしたので、至らずにご迷惑をおかけ したことも多々あったかと存じます。ご意見等頂き、今後の参考にさせていただきたければ幸いです。
今年10月で、レゴエデュケーション教室「SCCIPメンバークラスシップクラス」として満4年になります。日本におけるパイオニアとして、教育の質をより高めることに誠心誠意努力していかなければ、と改めて身を引き締めて臨まなければならないと思っております。

①権威ある大人から一方的に押し付けられる知識を鵜呑みにするのではなく、活動を通して自分の頭を使って考え、自分の力で知識を獲得し構築していくことを目指す教育理論「コンストラクショニズム

②ペーパーのみによる机上の学習ではなく、自分の手を使って具体物との関わりの中で学んでいく学習手法「ハンズオン・ラーニング

③予定された、たった一つの正解を出せればよいというのではなく、プロセスを重視し多様な問題解決のアプローチを可能にする「オープンエンド

という3つの柱をより強力に、より効果的に具体化する授業を実現していくつもりです。   
「ゆとり教育」の実施により、学力低下の不安を抱えている父母が70%近くいると聞きます。少子化の時勢もあり、今や「受験地獄」という言葉はどこかに消えて しまったかのように、首都圏では中学受験人口が増え低年齢化が進んでいます。従来型の学校教育や受験教育の意義と同時にその欠点や弊害も私たち大人は皆、 味わってきました。そして、日本人の欠点として、問題解決力やオリジナリティ、コミュニケーション能力の欠如が指摘されています。今、「学力とは何か?」 を本当に問い直さなければならない時が日本にやって来たのでしょう。そして、「子供たちにとって何が最も大切なのか?」を問い直す時が・・・。   
世界を舞台に活躍できる人間になってほしい。そして、その願いを実現する ために、「子供たちが目を輝かしながら熱中し、発見と感動に満ちた『学び』を創 出すること」が、私たちスタッフ一同の役目だと思っております。   
本年もよろしくお願い申し上げます。
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