2008年5月1日木曜日

【第35回】生のための学校 「フォルケホイスコーレ」⑦


― 全寮制「エフタスコーレ」―

「エフタスコーレ」は、義務教育段階の第8学年と第9学年(日本の中学2・3年)、デンマーク独自の制度である第10学年の生徒が通う全寮制の私立学校です。学べる期間は1年のみ。これもコルによって創設されました。1校当たり約85名の生徒数。教員は10名前後で、校長や専任講師(2~3名)は学校敷地内の教員住宅に住んでおり、大きな家族として長い時間を共に過ごします。最も精神的に不安定なこの成長期に、家族から離れ、同世代の子供たちと寝食を共にすることによって、自分の在り方や親との関係を相対化し、自立し成熟した若者に成長する効果は大きく、最近になって世界から注目されるようになりました。午前は10人程度のクラスで数学、理科(物理・化学・生物)、語学(英語・ドイツ語必修、フランス語選択)を学び、午後は1クラス5名程度の様々なワークショップに自由に選択して参加。生徒の自己決定権を重んじ、週に1回、全生徒と全教員の会議が開かれるそうです。

毎日、新聞やテレビで報道される忌まわしい事件や様々な政治や経済のニュース。決してフィンランドやデンマークの人々が皆幸福な人生を生きているとは言えないでしょう。また、深刻な社会問題も抱えていることでしょう。しかし、参考になる点がとても多いのも事実です。私も歳のせいでしょうか、日本の社会は今後どうなるのだろう?日本人はどこに行くのだろうか?と不安を感じることが多くなってきました。日本や世界を変える原点として、教育の在り方そのものをもっと十分に、真剣に議論し、子供や孫の世代にはもっと希望が見出せる社会が創り出せれば・・・。そんなことを願いつつ、コンストラクショニズム・ハンズオン・オープンエンドの3つのキーワードをベースに、輝く子供たちの瞳を想像しながら、スタッフ一同、日々授業案を作成する毎日を送っています。


【参考】・日本グルントヴィ協会
(http://www.asahi-net.or.jp/~pv8m-smz/)
・『生のための学校』(清水満著:新評論)

※数年前、図書館でこの本と出会い、ずっと手に入れたいと思っていましたが、残念なことに絶版となっていました。出版元「新評論」を訪ね、最後の在庫である1冊を分けて頂きまし た。本当にありがとうございます。この場を借りて御礼申し上げます。
  
To be continue・・・