2011年10月15日土曜日

【第63回】スティーブ・ジョブズ死去

~ ツールが持つ力 ~

「Appleは先見と創造性に満ちた天才を失いました。世界は一人の素晴らしい人物を失いました。スティーブを知り、共に仕事をすることができた幸運な私たちは、大切な友人と、常にインスピレーションを与えてくれる師を失いました。スティーブは彼にしか作れなかった会社を残しました。スティーブの精神は永遠にAppleの基礎であり続けます。(http://www.apple.com/jp/stevejobs/)」 10月5日、米アップル社スティーブ・ジョブズ氏(享年56歳)の死は世界に深い悲しみをもたらしました。

MacOS、iMac、iPod、iPhone、iPad…、次々と生み出される、圧倒的に素敵なデザインとワクワクするような新しい機能を持つアップル社の製品は、私たちの生活を、社会を大きく変える原動力になってきたことは誰もが認めるところではないでしょうか。最近ではタブレット端末iPadの出現が印刷業界や出版業界において電子書籍化を一気に加速化し、ある調査では日本の先生の約7割が教育現場への導入に前向きな意向を示しているとのことです。様々な端末器は所詮単なる「ツール(道具)」かもしれません。しかし、この情報化社会において、技術革新による新たな「ツール」の発明が人間生活に与える影響は計り知れないものがあるのも事実です。

当アカデミーのようにHands-on-learning(ハンズオン・ラーニング:ペーパーには依らず具体物を用いて行う直接体験型の学び)を実践する場においては、教材は大切な「ツール」です。かつては玩具でしかなかったレゴブロックがマサチューセッツ工科大学メディアラボとの共同開発によって、科学技術教育の教材に生まれ変わりました。1998年レゴ社製ロボット製作キット「マインドストーム(Mindstorms) 」の出現によって、世界の教育現場にロボットを教材とした授業が導入されるようになり、世界大会まで開催されるロボットコンテストも生まれました。『Mindstorms』は元々、「コンストラクショニズム」という教育理論を提唱しているシーモア・パパートが自身の理論と実践を記した著書の題名です。「ツール」が教育の変革を強くサポートした典型的な一例ではないでしょうか。

私共は、レゴ社の教育用ブロックだけでなく、リトル・ダビンチでも、優れたハンズオン教材の備えるべき条件は以下のように考えております。

1)色やデザインの見た目が魅力的であり、その教材が対象とする年齢の子供たちに楽しそうに感じられること
2)素材が安全であり、手で触った感触がいいこと
3)オープンエンドの学びが実現できること
  (たった1つの正解が予定されているのではなく、多様な解答が実現できること)
4)操作の難易度が対象年齢に合っており、操作にストレスを感じさせないこと
5)これらの条件を満たし、教材自体が子供の試行錯誤を支援するものであること

ジョブズ氏のように圧倒的に革命的なツールを私共が自らの力で生み出していく能力はありません。せめて、これらの教材(ツール)を有効に使って、「コンストラクショニズム」に基づいた教育が実践できるように授業案を練り、実践していくことが私共の使命であると考えております。

To be continue・・・