2012年12月8日土曜日

【第74回】 日本のICT教育の現状


~ 教育のガラパゴス化の不安はないか? ~

「海外の数学 電卓は当然  日本は手計算重視」という記事が、10/18朝日新聞に載っていました。教科書研究センターが行った算数・数学の教科書に関する国際比較調査結果を紹介する記事です。調査の対象は、主要国と経済開発機構(OECD)による学習到達度調査(PISA)での上位国を含め11カ国。報告書によると、ほとんどの国の教科書で、電卓やパソコンの表計算、作図ソフトなどのデジタル機器を使った内容が頻繁に登場しているのに比べ、日本の教科書ではデジタル機器の扱いがほとんどなかったとのこと。

記事では調査に加わった長崎栄三教授(静岡大大学院教育学研究科)の言葉を載せています。「デジタル機器をうまく使えば、作図や計算の労力は最小限にして、考えることに集中できる。日本もデジタル機器の活用をもっと考えてもいいのではないか」と。

PISA2009では、19カ国を対象に『デジタル読解力』の調査が試験的に導入されました。
「情報へのアクセス・取り出し」では、複数のナビゲーション・ツールを利用して、多くのページを横断しながら特定のウェブページにたどり着き、特定の情報を見つけ出す技能が求められます。「統合・解釈」では、リンクを選択しテキストを収集・理解するプロセスにおいて、テキストの重要な側面を読み手自身が構築する必要があります。「熟考・評価」では、情報の出所や信頼性、正確さを吟味・判断しなければなりせん。

この結果はとても興味深いものです。
■すべての国で、女子が男子よりも得点が高い。
■読書活動が活発になるほど、デジタル読解力の平均点が高い。
■自宅にコンピュータがあり、利用している生徒の方が得点が高い。
■「メールを読む」「ネット上でチャットをする」ことは、デジタル読解力と関連性がない。

日本は4位でした。日本の特徴は以下のように指摘されています。
●上位と下位の人数が少ない。
●家庭の経済状況や教育環境の違いが読解力に影響する程度が他の国と比べて小さい。
●国語、数学、理科のいずれの授業でもコンピュータを使用していないという生徒の割合が、参加国中もっとも多かった。
●「表計算ソフトを使ってグラフをつくることができる」は、回答した17国中12位。
●「マルチメディア作品を作ることができる」の割合はもっとも少なかった。

以前にも紹介いたしましたが、教材の展示会を見ると海外と日本の教育現場における現状には隔世の差があります(視線49回50回参照)。教育現場にICT教育を急がないと、教育のガラパゴス化を招き、日本の子どもたちが世界から取り残されてしまうのではないか?という不安はぬぐえません。


【参考文献】
OECD生徒の学力到達度調査 2009年デジタル読解力調査~国際結果の概要
(文部科学省国立教育政策研究所)

2012年11月7日水曜日

【第73回】 環境教育プログラム幼児版が日本に上陸!


~幼児向けプロジェクトワイルド指導者養成講習報告~




アメリカで開発された環境教育プログラム「プロジェクトワイルド」の幼児向けカリキュラムが、平成25年度から日本に導入されることになりました。それに先駆け、10月に行われた指導者養成講習会に参加してきました。東京会場はすでに満員となっており、大阪会場の方に出向かなければならないほど人気だったようです。

「プロジェクトワイルド」は、当アカデミーの夏期特別授業や、NEST主催サイエンス・キャンプのプログラムの中でもたびたび導入しています。「自然や環境のために行動できる人」の育成を目的としていますが、アクティビティはそんな堅苦しいものではなく、子供たちにとっては「楽しい!」とまず印象が残る内容に仕上がっています。幼児から大人までを対象とした、100以上ものアクティビティがあります。その中から幼児向けのものを抽出し、さらに幼児に実施するうえでの工夫の仕方や追加アクティビティの紹介などでまとめられたのが、今回のテキスト「Wild About Early Learners」です。同テキストの著者であり、米国アイダホ州プロジェクトワイルドのコーディネーター、ロリ・アダムス氏が来日しての講習会という貴重な機会でした。

アクティビティに入る前にロリ先生が語ったのは「家庭での学習」の重要性でした。復習や宿題ではなく、どんな活動でも、その日経験したことを家庭で親に話し、親と共有する時間を持つということです。幼児には、活動内容を記憶しておくことや、文字で記録するのが難しいので、絵で描いたり、見つけた植物を貼りつけたり自由に使える「ジャーナル(活動日誌)」を用意します。その作り方を、不要となったチラシや紙で制作することから始めました。
様々な活動をロリ先生の指導のもとで体験していきましたが、いずれのアクティビティにも楽しげなグッズや、ビジュアルの効いた絵や写真、ポスターなどが豊富に準備されていることが印象的でした。幼児は「感覚」で吸収し、また「感じる」ことが重要な時期であるということでしょう。
生きているもの、生きていないものを分けることから始めて、野生と家畜を考える「野生ってなんだろう?」、様々な色をしたカエルのおもちゃをかくれんぼさせて擬態(カモフラージュ)を体験する「ジャングルゲーム」、鳥のえさに見立てた数種類のものをくちばし代わりのどの道具で食べるのがふさわしいかを考える「すばらしき適応」…などなど、全部で約20種類のアクティビティのうち5~6本を体験できました。1日がかりの講習会でしたが、大人でもいずれも楽しく夢中になってしまうので、あっという間に時間が過ぎてしまいました。

活動の中で指導者が大切にすることは、①子どもの答えはすべて受け入れる、②子どもの発言を待つ、③答えを教えない、の3点であることをロリ先生は繰り返されていました。「わかったか、わからないか」ではなく、「発見する」「体験する」ことこそ幼児の環境教育なのです。また、幼児向けのテキストには、工作や絵を描く活動、歌を歌ったり音楽を聴いたりすることも組み込まれています。子どもたちが創作しやすいような準備の方法、歌っているだけで植物や動物の特徴を感じられる歌の披露など、著者だからこそ知る苦労や体験を聞くことができました。カリキュラムを生む苦しみ、届ける喜びを共感できました。

この素晴らしい環境教育プログラムをいち早く子どもたちに届けていきたいと思いますが、アメリカと日本という環境の違い、教室での活動などの制限を、どうクリアしてくか、ここから私たちのカリキュラム開発が始まります。今年のダヴィンチ・キッズ科学の活動では、昨年当アカデミーオリジナルで開発し、区立の保育園で実施したプログラム「四季のお天気観察」の内容を抜粋して行っています。一度実施したアクティビティをブラッシュアップして子どもたちに届けられる一方、園庭など環境的に教室ではできない活動もあります。その部分はご父母様にご協力いただき、ご家庭での活動でサポートしていただいていること、心より感謝申し上げます。ご家庭での協力をいただいてこそ、幼児の科学教育が実践できます。今後ともよろしくお願い申し上げます。

池田Y


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2012年10月1日月曜日

【第72回】2012年度 全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)


 ~理科実験における分析力の不足~


全国学力テストは、2007年より小学6年生と中学3年生を対象に、毎年4月に実施しています。去る88日に文科省が2012年度の結果を発表したことは、ご記憶に新しいことかと存じます。

 今回から従来の算数・数学、国語に加え、理科が初めて実施されました。理科の結果では、小中学生とも、実験や観察の結果を整理・分析して自分なりに解釈して考えをまとめたり、科学的な概念を正しく使って説明したりする力の不足が浮き彫りになりました。これは、今、世界が求めている「PISA型学力」の育成に、まだ日本の教育が対応しきれていないことを示しています。

 また、今回の結果では、「理科の勉強が好き」と答えた小学生は81.5%、中学生61.7%(積極的肯定と消極的肯定を含む。以下同様)。「理科の授業がよくわかる」は、小学生86.0%、中学生64.7%。「理科の勉強が社会に出た時に役立つ」と思うのが、小学生73.4%、中学生62.6%。小学校から中学校に進む過程で、理科に対する興味や理解の度合いが激減しています。さらに、「理科や科学技術に関係する職業に就きたい」と考えている中学生は23.9%(内、積極的肯定は9.7%)。「理科離れ」が叫ばれ始めてから久しいのですが、なかなか深刻な状況は改善されていないようです。

 日本の子供たちは理科実験が大好きです。なのに、どうして分析力が育たないのでしょうか?
また、理科に対する興味や関心を維持させ、将来の夢につなげていくには、どうしたらいいのでしょうか?

 今回の調査には、こんな興味深いデータもあります。
〇全教科の平均正答率が全国平均を上回っている都道府県はすべて、2011年度に少人数学級が実施されていた。
〇理科の指導として次のことを行ったと回答した学校には、理科の平均正答率が高い傾向が見られた。
・「発展的な学習の指導」や「実生活における事象との関連を図った授業」「生徒が科学的な体験や自然体験をする授業」を行った。
・観察・実験では、自らの考えた仮説をもとに計画を立てさせ、結果を整理し考察する指導を行った。
・理科の授業で発表や自分の考えを整理する際に、児童や生徒がコンピューターを使う学習活動を行った。

 当アカデミーでは、子供たちが自らの活動を通して自分の力で知識を獲得し構築していく学習を実現する「コンストラクショニズム」という教育理論に基づいた授業を行っています。これは、「推論→実験→検証」という正しい学びのサイクルの中から論理的思考力や洞察力、問題解決力を育成するものです。「Learning by Making」をモットーに、自分の手を使った、直接体験型の学び(ハンズオン・ラーニング)が基本。特に、ブロック・サイエンス(レゴ教室)では、世の中に実際に存在する建築物や機械を題材に、その構造や仕組みを通して、そこに潜む数学的・物理的な理論を学んでいきます。常に実社会との関わりを意識しながら学ぶことができるのです。

レゴ教室をスタートさせてから早12年が経った今、今回の全国学力テストの結果を見ると、当アカデミーの取り組みは決して間違っていなかったことを改めて確信すると共に、さらに発展させていかなければならないという使命感を一層強く感じました。


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2012年9月1日土曜日

【第71回】NESTオーシャン・プロジェクト2012


NESTオーシャン・プロジェクト2012




真鶴の空も海もどこまでも青く、焼けつくような暑さ。しかし、都会の暑さと違って、どこか心地良ささえ感じられます。前回ご紹介しました、NPO法人科学技術教育ネットワーク(略称:NEST―ネスト)が主催した、野外活動や実験とICTを融合させた科学活動『オーシャン・プロジェクト』のご報告です。

初日の昼の活動は、琴が浜で生き物ビンゴとシュノーケリング、風向きと水深の記録。「生き物ビンゴ」では磯で見られる生物をできるだけたくさん見つける活動で、どの子も懸命に生き物探しに夢中になっていました。シュノーケリングでは、シュノーケルの使い方のコツが掴めず苦労した子もいましたが、運のいい子はエビとハゼの共生の様子が見られたようです。エビは砂地に穴を掘って家を作って住み、ひとつの穴でハゼと共存生活します。エビは穴掘り役、ハゼは見張り役だそうです。どうして異なった生物が共存できるのか?自然の不思議を感じます。

グループごとに順番を決めて、手作り風向計の風向きを、海中に立てた目盛を付けた棒で水深を読み取り記録していきました。その一方で、風向きは色を塗り分けた円盤を光センサーで読み取りながら方位の変化を自動的に記録。さらに、定点カメラで潮の満ち引きの様子を記録したり、温度センサーで気温と水温の変化を記録したりもしました。

夜はいよいよNPO法人「オーシャンブルー」の代表・水井涼太先生によるプランクトン観察です。大きな満月が海を照らす姿を見ながら暗い坂道を港まで下り、プランクトンネットで一人一人が採取を行いました。ペットボトルに移した海水は濁っており、懐中電灯で照らすと何やらたくさんの微生物がうごめいているのが見えます。案の定、旅館に持って帰って先生の指導の下、顕微鏡で観察すると、ミジンコの仲間やカニの幼虫などたくさんのプランクトンを観察することができました。プロジェクターを使った水井先生の授業では、プランクトンについてだけではなく、海や山の自然環境の大切さを改めて教えて頂きました。

2日目午前は、真鶴町立「海の学校」の山本先生による磯観察。磯での生物の採り方や注意を受け、カニや貝、魚やエビ、ナマコやヒトデなどを皆で採取しました。山本先生がそれを分類して、それぞれの生物の特徴や生態について丁寧に教えてくださいました。皆の海洋生物に対する興味をさらに呼び起こされたようです。また、貝類研究科の遠藤晴雄氏の貝類コレクション4,50050,000点の内、約1,8005,000点を常設展示している町立「遠藤貝類博物館」でも山本先生に、いろいろな珍しい貝について教えて頂きました。

午後は活動の締めくくりとして、真鶴地域情報センターで、GEMS(ジェムズ=Great Explorations in Math and Science:カリフォルニア大学ローレンスホール・オブ・サイエンスLawrence Hall of Scienceにおいて1980年代から研究されている子どもを対象とした科学と数学の参加体験型プログラム)の「海流」のアクティビティを行ったり、前日に収集したデータを基に潮の満ち引きや風向き(海風・山風)についての考察をしたりしました。
あっという間の12日。しかし、多様な活動を通して、参加した子供たちは海洋生物とその環境について、楽しく豊かに学んでくれたと思います。


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2012年6月1日金曜日

【第70回】2012科学の夏


~ 今年の夏は科学に熱くなれる夏 ~

当アカデミーが毎年行っている「夏期特別授業」は、実験や工作、算数活動、ロボットなど今年も楽しい内容が満載。また、今年より小学中学年以上の1日完結講座も増設しました。『NPO法人科学技術教育ネットワーク(略称:NEST)』も、「オーシャン・プロジェクト」「サイエンス・キャンプ」「NESTロボコン」「ロボット教育指導者養成講座」と活発に活動を行います。

特に今回ご紹介したいのは、当アカデミーとNESTの前身であるRISE科学教育研究会が教室の中で行ってきた活動を野外に発展させたICT科学活動 ― 2005年にスタートした「サイエンス・キャンプ」と2010年から行っている「オーシャン・プロジェクト」です。どちらもICT (Information and Communication Technology)を用いた野外科学活動で、「サイエンス・キャンプ」は山をフィールドとし、「オーシャン・プロジェクト」は海をフィールドとしています。

「サイエンス・キャンプ」については、これまでご紹介してきましたように、ICT教育実践事例のコンテストである『ICT夢コンテスト』でCEC奨励賞が授与され、ITとコミュニケーションを組み合わせた国内で先駆的な活動としての評価を得ました(視線62回・67回参照)。今年のテーマは、『デジタルで探れ!森の時間と記憶』。
時間についての考察を行います。高尾山は元々野原だったのですが、植林によって森に成長した山です(視線46回参照)。時代の変遷による森の変化や山に刻まれた時間、時間をテーマとした科学実験や工作、ロボットによる探査シミュレーション活動など、充実した2泊3日を企画しています。

「オーシャン・プロジェクト」は、NESTの理事である玉水亘氏(「エルプレイス」主宰)が自教室で行っていた活動をRISE、そしてNESTが引き継いで行っています。開催場所の真鶴は、「御林(おはやし」と呼ばれる「魚付き保安林」から豊かな栄養分が海に流れこみ海を育てているところで、「美の条例」を定めているだけあって、景色も町並みも美しく、お魚も美味しい、私が個人的にも最も好きな町の一つです(視線45回参照)。
『海と生き物を科学する』をテーマに、潮の満ち引きや水温などデジタル計測機器を用いて観測し、その変化を分析して「海」に見られる自然現象を解明するICT科学活動を行います。これだけではなく、「海の学校」の渡部孟先生(真鶴町立遠藤貝類博物館)による海洋観察会や、NPO法人「ディスカバブルー」代表の水井涼太氏(環境学博士)によるプランクトン観察を行い、海に生息する生物について学びます。また、ダイビングのインストラクター資格「PADIインストラクター」取得指導者の指導の下、シュノーケリングを行い実際に海に潜ってその様子を観察します。シュノーケリングでは、毎年子供たちは大はしゃぎ。あっという間に楽しい時間が過ぎ去る1泊2日の合宿です。

夏休みは、学校から離れて様々な実体験ができる絶好の機会です。この夏、普段あまり体験のできない学びを存分に楽しんでください。


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2012年5月1日火曜日

【第69回】ものづくり教育の壮大なプロジェクト

~ 小中一貫校・八潮学園ものづくり教育 ~

平成19年に東京都教育委員会と品川区教育委員会が、「ものづくり教育プログラム」を開発・実施するための基本協定を締結。これを受け、平成20年に八潮学園と東京都立産業技術高等専門学校(以下、高専)が「ものづくり教育推進事業に関する実施協定書」を取り交わしたことによって、八潮学園でものづくり教育がスタートしました。すなわち、東京都が推進するものづくり教育の先駆的モデルとして位置づけられています。

八潮学園のものづくり教育には、ロボットの授業もありますが、「種の模型に挑戦!」(1年生)、「風車・ウィンドカーを作ろう!」(2年生)、「ペットボトルロケットづくり!」(4年生)、「紙飛行機と竹とんぼ作り」(7年生)、「エレキギターづくり」(9年生)…と、1年生から9年生まで内容は実に多彩です。8年生の「ボートづくり」では、人が乗れるボートを作り実際に川でボートを走らせるというのですから、さすが高専の先生方の指導だけあって、どの授業をとっても内容もレベルも本格的です。

小中一貫9年間を次の3ステップに分け、段階的なカリキュラム構成をしています。
第1ステージ(1~4年生):五感を使い興味・関心を引き出す基本期
第2ステージ(5~7年生):仕組みを理解して技能・表現の力をさせる創造期
第3ステージ(8~9年生):工夫して応用・創造に挑戦する探究期

この教育の主眼は、「早急にものづくり技術者を育成することではなく、ものづくり学習を通じて生徒の『学ぶ力』を育成し、児童・生徒が個々の特性を自己発見し自己実現へ向かう挑戦を促す」ことにあり、そのため、「対象を知識で理解してからものづくりを習得するのではなく、作ってみて不思議さや意外性を体験することに優先性を置く学習である。事実から理屈を理解して工夫する。つまり、感性、思考、知識の融合した創発的ものづくり学習を目指している」という理念の下に構成されているとのことです。

これは、小学校から中学・高校・大学・大学院へと一貫してつながっていくというビジョンを持ち、従来のペーパーを中心とした知識重視型の学習とは別の、ものづくりを中心とした体験型学習の柱を打ち立てようとする、東京都と品川区の壮大なプロジェクトなのです。
スタートしてから数年の成果としては、
(1) 教科横断的な「ものの見方・考え方」ができるようになった
(2) ものづくりを通じてサイエンスに興味をもつようになった
(3) 物を大切にし、ものづくりに関心をもつようになった
(4) 体験発表の場を設けることによりプレゼンテーション能力がつくなど、コミュニケーション能力の向上に効果的であった
(5) 共同作業でチームワークの大切さを知り、お互いの作品を認め合うことで、個性の確立と集団行動ができるようになった
(6) 失敗したときに原因箇所を探索し、問題解決に向けて努力する力がついた
などが挙げられています。

日本のロボット工学の第一人者であり、教育としてのロボットコンテスト提唱者の草分け的存在である森正弘氏(東京工業大学名誉教授)は、ロボコンを通したものづくりの実践と自身の思想を紹介した著書『ロボコン博士のものづくり遊論』(オーム社刊)において、ものづくりによって人の心が育つことを唱え、次のように述べています。

「人は物を尊重し、物は人を育て、互いに、活かし活かされ合う」
「人間は万物にとって意義ある存在とならなければならない。その時、万物は人間にとって真に意義ある存在となる」

高専の依頼を受け、今年の4月から当アカデミー代表の中島が八潮学園7年生の授業を担当しています。これは、NPO法人「科学技術教育ネットワーク(NEST)」としての初仕事になります。当アカデミーの13年に渡る教育実践と極めて共通点の多いこの八潮学園のプロジェクトに参加できることは、とても意義のあることだと感じております。

  【参考文献】
  平成22年度 小中一貫校八潮学園 ものづくり教育プログラム
  ~小・中学校ものづくり学習を通した生きる力育成プログラム~
              (編集 牧野順子、井上徹、中西佑二、西山明彦)


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2012年4月2日月曜日

【第68回】NPO法人『科学技術教育ネットワーク』誕生


~ 新しい科学技術教育へさらなる挑戦 ~

1998年にLEGO社からロボット製作キット「Mindstorms」が発売され、当アカデミーは2000年からレゴとロボットを教材とした教室をスタートしました。当時、Mindstormsを使ったロボット教育に関するカリキュラムや指導方法論はほとんど皆無といった状態だったので、志を同じくする「エルプレイス」の玉水氏、「エレファントアリー」の長田氏たちと、2003年に任意団体として『RISE(ライズ)科学教育研究会』を立ち上げ、カリキュラム開発と普及活動を行ってきました。

「こどもロボット研究室」(03年~)、「サマーチャレンジ」(05年~)、「サイエンス・キャンプ」(05年~)、「ロボットの鉄人合宿」(09年~)、「オーシャン・プロジェクト」(10年~)、「ロボット教育指導者養成講座」(11年~)と活動の幅を広げ、独立行政法人 国立青少年教育振興機構の「子どもゆめ基金」助成活動として認定された活動も数多くあります。また一方で、2004年以来『ロボカップジュニア』の関東ブロック運営委員会設立の中心メンバーとして、関東圏内各都県の地区大会、関東ブロック大会、ジャパンオープンの運営を全面的に協力しております。

年々活動の幅と規模が拡大し賛同者が増える状況において、さらなる活動範囲拡大と日本のICT教育の一翼を担うという目標実現のために、この度内閣府NPO法人『科学技術教育ネットワーク』(略称:NEST)を立ち上げました。理事長には中西佑二氏(東京都立産業技術高等専門学校名誉教授)が、副理事長には井上徹氏(東京都立産業技術高等専門学校教授)が就任して下さいました。

このNPO法人『NEST』(ネスト)は、幼児~高校生を対象に、ICT(Information and Communication Technology)を活用し、科学に対する新鮮な驚きと好奇心・探究心を育てること、科学を身近で楽しいものとして感じられること、科学者や技術者が実際に行っている実験や開発の方法論を身につけること、実生活との関連の中で科学を実感し実践できることを目標に以下のような活動を行います。

(1) 与えられた手順で行い、予定された結果が出て満足するといった現在の理科実験では「考える力」は育ちません。まず実験の方法や手順(アルゴリズム)を考えるところから始める必要があります。また、実験中に五感を使っての観察はもちろんのこと、データを取ることも不可欠です。そのデータ結果を読み取り分析することによって、ものの性質を考えたり、法則性や規則性を導き出したりする。この一連の流れが体験できる科学実験を提唱します。世界の科学実験の潮流は、教育用のデータロガー(各種センサーを用いて実験データを計測・保存するデジタル計器)を使って取得したデータを読み取ることを重視する方向にあるのです。

(2) 「ものづくり」を通した科学技術教育の実践は、PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Action)の手法を身につけるのに、最も適しています。最近ではロボットを教材とした科学技術教育が世界の教育現場では多く採用されています。特に自律型ロボット製作は、構造やメカニズム、電子工学そしてプログラミングによる機械制御などの最先端科学技術が学べるだけではなく、様々な「問題解決力」が要求されます。ロボット教育の普及はもちろんのこと、「チームによるプロジェクト学習」としてのロボットコンテストの企画運営を通して、チームワークの大切さを学ぶ機会を提供し、コミュニケーション能力の向上を図ります。

(3) 実験室の外に飛び出し、自然に囲まれた地方の廃校の再生を手作りで行うことによって、学習の成果を社会的実践に結びつける活動を行います。土壌と植生、水質などの地域の自然環境データを収集・把握し、これらのデータに基づく自然エネルギーの活用、排水の浄化システム、ビオトープや農園づくり、家畜の飼育などのプロジェクトを企画・実践します。これは、子供だけでなく大人も、都市に住んでいる人々だけでなく地域の人々も協力し合って行うプロジェクトとなります。そこを地域における新たな科学技術教育の拠点として、自然を対象とする科学活動を展開すると共に「科学技術教育を中心とした、世代や地域の枠を超えた新たなコミュニティの形成」を目指します。

「RISE科学教育研究会」が行ってきた活動をより発展させ強力に推し進めると共に、新たな分野へのチャレンジを図っていくつもりです。近日中に、『NEST』のホームページを公開します。ご期待ください。


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2012年3月1日木曜日

【第67回】ICT夢コンテスト受賞に寄せて

~ 科学的リテラシーと社会的構成主義 ~

ICT夢コンテストCEC賞を受賞した『サイエンス・キャンプ2011』の活動概要は、トゥルースの視線第62回をご覧ください。RISE科学教育研究会の活動は、当アカデミーの教育の延長線上にあります。当アカデミーには、ブロック・サイエンス、ロボット・サイエンス、リトル・ダヴィンチ理数教室の3つのコースがありますが、どれも同じ思想の下に運営しております。それは、「科学的リテラシーの育成」と「社会的構成主義に基づく学び」の提唱と実践です。今回の受賞理由は、そこにあると考えております。

視線第50回でもご紹介いたしましたが、「科学的リテラシーの育成」には、データロギングは極めて有効な方法だと思います。日本の子供たちは理科実験が大好きで、理科実験教室も盛況なようです。しかし、一方で実験結果を考察する力が不足していることも指摘されています。決められた材料や器具で決められた手順で実験を行い、予定調和的な結果を求める実験を繰り返しても、考察する力を育てることができないのは当然ではないでしょうか?
データロギングは、各種センサーを用いて電子機器でデータを取ることです。この場合、どのようなセンサーを用い、どこに取り付け、どのような間隔でデータを取るか(サンプリング周期)、いつまでデータを取ればいいか(待ち条件) ― プログラムを組む上で実験の手順を考えなければなりません。また、実験データからこの実験は正しく行われたのか、どのような性質や規則性・法則性が導き出せるかを考えなければなりません。しかも、データグラフは数学のグラフのようにきれいなグラフにはなりません。特異点については、考慮すべきなのか、排除すべきなのかの判断も必要となります。①実験の手順を考える→②実験を行ってデータを取る→③データを考察する、というプロセスが重要となります。
当アカデミーの3つのコースではこれとは異なった方法で科学的リテラシー育成の方法を行っておりますが、データロギングはこれを実現できる、ICTを活用した有効な方法の一つだと考えております。 (科学的リテラシーについては、視線第58~61回をご覧ください)

学力世界一と言われるフィンランドが1990年に教育立国を目指し大教育改革に成功した11の理由の一つに「社会的構成主義」が挙げられています(視線第24回参照)。

「構成主義」とは、当アカデミーの指導方針である「コンストラクショニズム」の訳です。これは、レゴ教育の父であるシーモア・パパート(マサチューセッツ工科大学メディアラボ名誉教授)が提唱してきた教育理論。要約すると、教育とは知識を与えることではなく、子供たちが自らの活動を通して自分の力で知識を獲得し構築できるように、学習の環境を整えたり、学びのデザインをしたり、自分の力で目標達成できるようにファシリテート(促進)したりすることである、という主張です(視線第2~4回参照)。
では、「社会的」とはどういうことでしょう? 勉強は本来一人でコツコツと行うもの ― これは「個人的な学び」です。「社会的な学び」は、友達や先輩、教師という他者との関わりで学ぶことを意味します。意見を交換したり刺激し合ったりして、子供たちの気付きと発見を積み上げて知恵や知識を高めていく学び方あり、「発達の最近接領域」(視線第44・60回参照)を埋める「協働による学び」なのです。
『サイエンス・キャンプ』では、学年の異なる男女を織り交ぜた3~4名のグループを編成し、2泊3日の期間中、活動や生活のほとんどをこのグループで行います。このことにより濃密な人間関係を築き、協力して何かを行うことの良さやチームワークの大切さを学び取ってもらいます。この点がコンテストでは評価されたのではないかと思います。

レゴやロボットを教材とした教育が日本の教育現場で理解されるようになるのに苦節10年かかかり、データロギングというICT科学教育が評価されたことには、ひとしおの感慨があります。しかし、今回の受賞31件の中に科学技術教育にICTを利用した事例は、私たちの他に大阪の学校が行っているロボット教育しかありませんでした。もっともっと様々な事例があってもいいはずですし、評価され推奨されてもおかしくないものも沢山あるのではないかと思っております。
日本の科学技術教育の発展に貢献できるよう邁進しなければならない、と改めて身を引き締める思いでおります。


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2012年2月1日水曜日

【第66回】イノベーションの時代(2)

~ Think different ~

東日本大震災、原発問題、タイの洪水、円高、産業の空洞化、ガラパゴス化、ユーロの危機、人口減、少子高齢化などの影響で日本経済の行く末を案ずる声が絶えません。しかし、2月11日に公開される映画『はやぶさ 遥かなる帰還』の原作『小惑星探査機はやぶさの大冒険』の作者である山根一眞氏は、「日本が世界一になれる産業はある」と語り、真っ先に宇宙ビジネスを挙げています。HⅡAロケットの打ち上げ技術の高さ(成功率95%)とコスト削減の実現、無人輸送機「こうのとり」や宇宙実験棟「きぼう」のプロジェクト、そして「はやぶさ」で一躍脚光を浴びた「イオンエンジン」の成果…。山根氏は「日本の衛星システムが世界の基盤になる」と断言しています。

宇宙ビジネスだけでなく、ロボット技術や環境・エネルギー、ナノテクノロジー、バイオテクノロジーなど、日本には世界のトップを走れる技術分野はまだまだあるように思います。また、「モノだけを売るな!ソルーション(解決策)を売れ!」という時代だとも言われています。省エネ・二酸化炭素削減・交通渋滞緩和・節水…多岐に渡る都市の課題の解決を目指す「スマートシティ」などは、その一例になるのではないでしょうか?分野の異なる多くの企業が協力し、世界トップレベルの技術力を統合して新たなものを生み出すことが可能となります。

このようなことに思いを巡らすと、前号「2012年 新年のご挨拶」でお話したように、今こそ「イノベーションの時代」であることを強く感じます。この「地獄の10年」とも「ビッグ・ゼロ」とも言われる時代にあって、最も大きなイノベーションを起こした人物はスティーブ・ジョブズであることは誰しも認めるところではないでしょうか?「1日に何回も何か問題を抱えたどこかの学生、どこかのアントレプレナー(起業家)、どこかの産業デザイナー、どこかのCEO(最高経営責任者)がこう自問しているはずだ―『スティーブ・ジョブズならどうするだろうか?』と」(フォーチュン誌)。

『スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション』の著者カーマイン・ガロ氏は、スティーブ・ジョブズが基本とする7つの法則を挙げています。(法則○「…」以下はスティーブ・ジョブズの言葉)

法則1「大好きなことをする」
自分の心や直観に従う勇気を持とう。本当はどういう人になりたいのか、意外なほどわかっているものなんだ。

法則2「宇宙に衝撃を与える」
我々はビジョンに賭ける。「後追い」製品などつくらず、次なる夢を追い続けるのだ。

法則3「頭に活を入れる」
創造力というのは、いろいろなものをつなぐ力だ。

法則4「製品を売るな。夢を売れ」
我々も、常識とは違うことを考え、アップルの製品をずっと買い続けてくれる人々のためにいい仕事をしたいと思う。自分はおかしいんじゃないかと思う瞬間が人にはある。その異常こそ天賦の才の表れなんだ。

法則5「1000のことにノーと言う」
何をしてきたかと同じくらい、何をしてこなかったかを誇りたい。

法則6「めちゃくちゃすごい体験をつくる」
パーソナルコンピューターが買えればいいという時代は終わりました。今はみんな、コンピューターで何ができるかを知りたいんです。だから僕らは、それを世の中に示したいと思います。

法則7「メッセージの達人になる」
ケーキがよく焼けているのに、アイシングはひどすぎる。

  2009年全米ティーンエイジャーのアンケートで、最も尊敬する人物としてスティーブ・ジョブズが挙げられています(得票率35%)。その理由として、「違いを生み出した人だから」「みんなの暮らしをよくした人だから」「世界をよりよくしてくれた人だから」を挙げているそうです。もちろん十代の純粋さはいつの世も変わらないとは思いますが、前号に紹介した「C世代」は、スティーブ・ジョブズの遺伝子を受け継いでいるように思えてなりません。

  当アカデミーは、「子どもたちは皆、生まれながらにして科学者であり、芸術家。知的好奇心と探究心を刺激し、子どもが学ぶことの楽しさ、大切さを実感することができれば、いつまでもその資質を伸ばし続け、開花することができる」と考えています。自分の利己的な利益よりも他者の、そして社会の幸せを願う、純粋な心と共に育ってくれればと願っています。


「自分が世界を変えられると本気で信じる人たちこそが本当に世界を変えているのだから」
                                                      ― 1997年Apple 社CM『Think different.』―

【参考文献】
■『スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション』(カーマイン・ガロ著・井口耕二訳/日経BP社)
■Apple不朽の名作CM「Think different.」クレイジーな人たちへ〜アップル宣言
http://blog.prtimes.co.jp/yamaguchi/2011/10/apple_think_different/

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2012年1月1日日曜日

●2012年 新年のご挨拶 - イノベーションの時代 -

『さんがつじゅういちにち』― まるで特殊な記号のような響きだ。大晦日、遠く除夜の鐘を聞きながら、透き通った夜空に赤く輝く、いつ超新星爆発を起こすか分からないオリオン座のベテルギウスを仰いでいた。終わりを告げることができない2011年は、2012年へと静かにバトンを渡した…。

                                明けましておめでとうございます。

日本研究者ガバン・マコーリック氏(オーストラリア国立大学名誉教授)と『敗北を抱きしめて』の著者ジョン・ダワー氏(マサチューセッツ工科大学名誉教授=ピュリツァー賞受賞)との対談『2012巻頭言特集~震災後日本と世界の眼』(1月2日NHKBS1放映)は極めて示唆に富んでいました。
マコーリック氏は戦後日本の国策の柱を安保・経済成長主義・原発への依存と規定しています(核廃棄物大国となった「非核国家」日本-2007論文『プルトニウム超大国日本』では、日本の抱える原子力の問題を鋭く指摘しています)。そして、「自分たちの手でより良い世界が創れるという若者の信念が消え失せていたのが、大震災後、世界を変えるという信念が復活した」と語っています。

同様にダワー氏もこう述べています。「日本は世界史上唯一の核被爆国として国の基盤を作れるはずだったのに、反核運動で世界をリードすることはなかった。サンフランシスコ講和条約・日米安保条約(1951)を受け入れ、核の傘に入ることを選択してしまった」「現在世界は資本主義の危機、民主主義の限界に直面している。危機の重大さは大きな転換のチャンスである。カタストロフィーが歴史の分岐点となり、そこでは国家戦略の崩壊が起きる。ここに『開かれたスペース』(=チャンスの窓)ができる。新しいビジョンが生まれ、未来について考えるチャンスが生まれる。一般の人々情熱がこのスペースを埋めるのだ。東北大震災では世界中から共感と称賛が与えられた。窓が開いてあらゆる摩擦が消えたのだ。人類として共通の問題に直面していることを感じてほしい」と。

実際、大震災後、多くの企業や民間人、NPOが現地入りをして支援活動を行っています。「仮設住宅にふれあいの場がほしい」という声にハーバード大大学院やマサチューセッツ工科大学の学生が集会所を作り上げたとのこと。「共鳴する世界は国を超えて若い世代を巻き込む。同じ価値観や使命感を抱く人が自由につながっている」(1.1日経)「お上の支持を待つ従属型社会から、自由と自律を重んじる参加型社会へ。硬直したタテ型社会からしなやかなヨコ型社会へ」(1.2日経)移行しているのかもしれません。
「アラブの春」も「ウォール街占拠」も行動し変革を起こしたのは若者です。元旦の日経一面トップでは『C世代駆ける』というタイトルで、「コンピューター(Computer)を傍らに育ち、ネットで知人とつながり(Connected)、コミュニティ(Community)を重視する。変化(Change) をいとわず、自分流を編み出す(Create)」世代を「C世代」と名付け、20年後の世界を背負う若者たちに期待を寄せています。いつの時代もそうかもしれませんが、日本の将来に悲観的な20代以上に比べて、10代は今より良くなると答えるアンケート結果はある種の希望を感じます。

技術立国を誇る日本は、やはり科学技術で未来を切り開いていくしかありません。実際、経済が厳しい時期に優れたイノベーションが登場していることは歴史が証明しています。2001年の9.11同時多発テロから始まったこの10年は、「地獄の10年」(タイム誌)とも「ビッグ・ゼロ」(ポール・クルーグマン=ノーベル経済学賞受賞)とも呼ばれています。ビル・ゲイツも、この状況を次の10年で大きく改善するためには、創造的で画期的なアイデアが必要となるだろう、大事なのはイノベーションを継続することだと語っています。ここで注意しなければならないのは、「イノベーション」は「技術革新」とよく訳されますが、広義には「ものごとを新しい進め方で、良い方向の変化をもたらすもの」であり、「問題解決のアイデアを生み出すこと」を指します。

『20歳のときに知っておきたかったこと』の著者ティナ・シーリング女史(スタンフォード大学工学部テクノロジーベンチャープログラムのエグゼクティブ・ディレクター)による『スタンフォード白熱教室@大阪大学』(1月1・2日NHKEテレ放映)では、「常識を疑い、創造性を解き放て!」をテーマにしていました。答えは一つではない、予定調和的な答えはない、新しいものを生み出す課題に大阪大学の学生たちにチャレンジさせ、イノベーションを生み出す力を引き出す参加型の授業。学生たちは「起業家は想像を超えるところから価値を生み出せる」という趣旨を十分に理解し、皆真剣に取り組み、真面目に考え、様々な発想で問題解決を図っていました。

「成長社会から成熟社会へ」(1.1朝日)へと移行せざるを得ない時代において、新しい価値観を生み出さなければなりません。この社会を引き継ぎ担っていくのは若者です。新しい価値観を生み出せる若者を育てていくことは、今の大人の重要な役割の一つです。当アカデミーの使命は、「コンストラクショニズム」に基づく教育を通して、子供の創造力と問題解決力を育成することに他なりません。この使命をしっかりと根底に置き、新しい教育への果敢なチャレンジを行っていきたいと思っております。

本年もよろしくお願いいたします。

ハングリーであり続けろ。愚かであり続けろ。―スティーブ・ジョブズ

【参考】
ガバン・マコーリック氏のブログ=http://peacephilosophy.blogspot.com/
ジョン・ダワー氏からの手紙=http://www.47news.jp/47topics/earthquake/1.html

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