2015年2月19日木曜日

トゥルースの視線【95回】


21世紀型スキル」によって変わるPISA
ICTと社会的構成主義との融合 -
 
前号で「21世紀型スキル」について簡単に触れましたが、今回は「21世紀型スキル」とは具体的に何を意味するのか? PISA2015にどのように影響するか? ご紹介したいと思います。
 
21世紀型スキル」には諸説ありますが、その定義や能力測定などについて研究をしている国際団体「ATC21s」(The Assessment and Teaching of 21st-Century Skills )は、下記のように定義しています。
 
■思考の方法:
 ①創造力とイノベーション
 ②批判的思考・問題解決・意思決定
 ③学びの学習・メタ認知(認知プロセスに関する知識)
■仕事の方法:
 ④情報リテラシー
 ⑤情報通信技術に関するリテラシー (ICT literacy)
■仕事のツール:
 ⑥コミュニケーション
 ⑦コラボレーション(チームワーク)
■社会生活:
 ⑧地域と国際社会での市民性
 ⑨人生とキャリア設計
 ⑩個人と社会における責任(文化に関する認識と対応)
 
ここで、「創造力とイノベーション」が最初に挙げられていることは注目すべきです。2003年フィンランド教育相は、「知識、創造性、イノベーションは社会とその発展における基礎である」こと、12年には、常に変化する社会においては「学習するスキル(Learning Skill)」が重要であることを提言しています。
 
21世紀型スキル」の考え方の背景には、コンピューターやインターネットが中心となった現代の情報化社会においては「知識のあり方そのもの」がこれまでの工業化社会と比べて変化していることが挙げられます。工業化社会では体系的な知識が有効でしたが、情報化社会においては知識がすぐに陳腐化します。このような知識観の変化の中で教育(Education)から学習(Learning)への変容が求められているのです。工業化社会では、教師が中心(Teacher Centered)となり、体系化された知識をいかに線的(Linear)に効率良く生徒に伝達できるかが重視されます。そこでは、よき市民、労働者として教育を受けた生徒(Educated Student)が「優秀」とされます。一方、情報化社会では、むしろ中心となるのは生徒=学習者(Learner Centered)であり、そこでは教育を受けるというよりも知識を結びつけ、学習者同士がつながり(Connected)ながら、自ら学ぶ生徒(Learning Student)であることが重要となります。いわゆる、フィンランド教育が成功した理由の一つであり、当アカデミーが採用している「社会構成主義的な知識観」が重視されるのです。
 
次回15年のPISAでは「協調型問題解決能力」の出題が予定されており、複数の人と一緒に課題解決に取り組む課題が設定される見通しです。主要3分野も含め、全面的にコンピューター使用型に移行することにしています。さらに18年のPISAでは「グローバルコンピテンシー」が問えないか模索しているそうです。ますますグローバル化が進むこれからの世界では、決まった正解のない課題に対して、文化的な背景の違う人ともコミュニケーションを取りながら、最適と思われる解答を導き出す力が求められることになります。
 
今の、そして、これからの子供たちは、私たち大人が子供の頃に求められていたものとは全く性質が異なる能力を社会から要求されて生きていかなければなりません。その能力を十分に育てる教育が求められており、大人はどのような教育(学び)を子供に与えていくか? 賢明に選択していかなければならない時代の渦中にあることを、正しく認識しなければならないでしょう。
 
【参考文献】
『フィンランド社会における教育と学習-21 世紀におけるICTとソーシャル・ラーニング―』
松下慶太(実践女子大学人間社会学部准教授)




トゥルース・アカデミー代表 中島 晃芳
 
 
 
トゥルース・アカデミー ブロック・サイエンス
 
トゥルース・アカデミー リトル・ダヴィンチ理数教室
 
トゥルース・アカデミー ロボット・サイエンス



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