2015年4月29日水曜日

トゥルースの視線【97回】


アクティブ・ラーニング 
 
-能動的学修とは?-
 
4/9朝日新聞に「考え・体験する学び、充実 中学教科書にページ新設」というタイトルで、いわゆる『アクティブ・ラーニング』が教科書に掲載されたことを報じていました。

「赤字バス路線に税金を使うべきか?」(帝国書院公民)、「市役所の観光課職員として旅行のパンフレットをつくる」「銀行員になって融資する」(育鵬社公民)、「CMソングをつくってみよう」(教育出版音楽)。東京書籍公民のキーワードは「コンビニ」。コンビニの経営者になり、どこに出店するか、弁当の商品開発を通じて利益や安全性などについて検討し企画書にまとめる、裁判員制度の学習ではコンビニ強盗致傷事件まで起きるというのです。

 
アクティブ・ラーニングは、もともと大学の授業で使われている用語です。文科省によると次のように説明されています。

「教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習等が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である」

 
ハーバード大学で物理学を教えるエリック・マズール教授は、授業にピアインストラクションという手法を取り入れました。大教室の授業でも教員が学生に対して質問を投げかけ、それに対して学生同士が議論しながら進めます。この手法が取り入れられてから、学生の物理の理解度も大きく上昇しました。2012年からスタンフォード大学メディカルスクールではいわゆる「講義」のみの授業を廃止しました。同様の試みはマサチューセッツ工科大学でも以前から行われ、やはり教養物理の授業に学生同士の議論などアクティブな要素を取り入れた結果、成績下位者だけでなく中位、上位でも満遍なく成績の向上がみられたと言います。NHK白熱教室を思い起こします。これらアクティブ・ラーニングの手法が日本の大学にも少しずつ浸透しつつあります。


一方、小中高の「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について(諮問)」(H2611月中央教育審議会)では、以下のように記されています。

「新しい時代に必要となる資質・能力の育成に関連する様々な取組に共通しているのは次の点です。学ぶことと社会とのつながりをより意識した教育を行い、子供たちがそうした教育のプロセスを通じて,基礎的な知識・技能を習得するとともに,実社会や実生活の中でそれらを活用しながら,自ら課題を発見し,その解決に向けて主体的・協働的に探究し,学びの成果等を表現し,更に実践に生かしていけるようにすることが重要であるという視点です。そのために必要な力を子供たちに育むためには,『何を教えるか』という知識の質や量の改善はもちろんのこと,『どのように学ぶか』という,学びの質や深まりを重視することが必要であり,課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習(いわゆる『アクティブ・ラーニング』)や,そのための指導の方法等を充実させていく必要があります。こうした学習・指導方法は,知識・技能を定着させる上でも,また,子供たちの学習意欲を高める上でも効果的であることが,これまでの実践の成果から指摘されています」
 

「ラーニングピラミッド」と呼ばれる、授業で学んだ内容を半年後にどれだけ記憶しているかを授業の形態で比較したアメリカの研究結果があります。講義を聴いただけの場合は、内容のわずか5%しか覚えていない。読書が10%、視聴覚が20%、デモンストレーションが30%、グループ討論が50%、そして自ら体験すると75%、他者に教えると90%となっている。つまり、受動的な授業ほど内容が身についてないのに対して。授業にアクティブな要素を盛り込むと効果が大きいことが証明されたのです。

 
 

コンストラクショニズム、ハンズオン、オープンエンドを教育の柱としている当アカデミーでは、まさにこのアクティブ・ラーニングそのものを十数年前から実践しています。教育の内容や手法についても、やっと時代が私たちに追いついてきたのを実感します。これからも時代の先端をいく教育を提供していく所存です。ご期待ください。




トゥルース・アカデミー代表 中島 晃芳
 

 
トゥルース・アカデミー ブロック・サイエンス
 
トゥルース・アカデミー リトル・ダヴィンチ理数教室
 
トゥルース・アカデミー ロボット・サイエンス



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