2016年11月16日水曜日

トゥルースの視線【112回】


人口知能とロボットの時代に生きる(1)
- 労働人口の半分がロボットに? ―


去る107日、夜テレビをつけたら、なんとあの松原仁先生(公立はこだて未来大学教授)が報道ステーション(テレビ朝日)にコメンテーターとして出演しているではないか!松原先生は日本の人工知能研究の第一人者であり、元ロボカップ日本員会会長で、当アカデミーの先輩たちは「松原仁」と書かれた表彰状をたくさんもらいました。ジュニアジャパンの理事であり、ロボカップ2017名古屋世界大会でもアドバイザーを務めて下さります。もはや、人工知能(AI)やロボットを抜きにして人間が生活できる時代ではなくなったことを、誰もが認識しなければならない時代になったことを改めて痛感しました。

一方で、人口知能やロボットに人間の職業が奪われることを心配したり、新たなビジネスチャンス、人間の生き方を変える絶好の転機と捉えたり、様々な議論が沸き起こっています。

株式会社野村総合研究所は、英オックスフォード大学の機械学習を専門とするマイケル A. オズボーン准教授およびカール・ベネディクト・フレイ博士との共同研究により、国内601種類の職業について、それぞれ人工知能やロボット等で代替される確率を試算。この結果、1020年後に、日本の労働人口の約49%が就いている職業において、それらに代替することが可能との推計結果が得られたと発表しています。(201512月)

では、どのような職業が人工知能に取って代わり、どのような職業が代替されないのでしょうか?サイエンスライターの森山和道氏がレポートした、オズボーン氏の分析を紹介したいと思います。

ビッグデータ解析は既に弁護士などの文書チェック、契約文書の準備にも用いられ、かなり複雑な法律的相談にもシステムが用いられるようになっており、単純作業・肉体労働・小売だけでなく法律分野などでも自動化が進んでいる。日本の職業では、会計監査係員、税務職員、行政書士、弁理士などは機械にとって代わられる可能性が高い。事務職やホワイトカラー業務、そして賃金が高い業務はコンピュータによる代替が可能。一方、雑誌記者、中学校教員、弁護士、歯科医師などは代替リスクが低い。ソーシャルコミュニケーション、非定型業務である。翻訳や司書は中間。また代替されにくい仕事は意思決定者のような職務と、人でしかできない仕事とに二極化するだろうと。要するに、芸術、歴史学・考古学、哲学・神学など抽象的な概念を整理・創出するための知識が要求される職業、他者との協調や、他者の理解、説得、ネゴシエーション、サービス志向性が求められる職業は人工知能等での代替は難しい傾向があり、一方、必ずしも特別の知識・スキルが求められない職業に加え、データの分析や秩序的・体系的操作が求められる職業については、人工知能等で代替できる可能性が高い傾向が確認できたとしています。

オズボーン氏は、自動化しやすい仕事としにくい仕事の違いは、「クリエイティビティ(創造性)「ソーシャルインテリジェンス(社会的知性)2つの要素を含んでいるかどうかだと言います。また、新たな職業も生まれます。今後の社会的対応については、オズボーン氏は「再教育が鍵となる」と述べた。今後は機械とうまく連携しながら社会的知性を活用しながら仕事をすることが求められるという。さらに、ソーシャル・インテリジェンスやクリエイティビティ自体がコンピュータ化される可能性についても触れて、クリエイティブな職種も将来は自動化される可能性があると指摘。例えばちょっとした会話をするチャットボットなら実現できるが、人を説得したり交渉したりすることは今の時点では難しい。ソーシャル・インテリジェンスについても情報を構造化できるものならば機械化できるが、人の頭の中にしか情報がないようなものの場合は難しいと述べました。 

10年〜20年後には、今の子供たちのほとんどが何らかの職業に就いていることでしょう。このような社会に子供を送り出すには、どのような教育が求められているのでしょうか?


トゥルース・アカデミー 代表 中島晃芳
 
 
 


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